2006-03-01 Wed 06:33
*紹介
タイトル:『サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し』
タイトル:『サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄』
著者:西尾維新
講談社ノベルス (上)2002年11月5日 246P
(下)2002年11月5日 296P
戯言シリーズ第4作。
上下巻という構成故に買うのに少し勇気が要ります。笑。
いえ、単純に出費が倍というだけですが。
少し本流に戻りミステリー風味です。
風味というのは、これまでに登場している人間レベルじゃない人達の能力を
考慮しないといけないので、どうしても普通に推理の範疇を越え気味です。
毎度、辛口ですが、同シリーズの中で、私が最も気に入っているのも、
この「サイコロジカル」なのです。
ネタバレを含むその理由などは、続きをどうぞ。
※有り得ない位にネタバレなのでご注意ください。
さっそくですが、私がこの作品を気に入っている最大の理由として、
本来のヒロインである玖渚友を中心に回るお話だからです。
次に、読みやすいミステリー風味である事。
また、お得のパターンなのか、構成やオチがある程度お約束である事。
あと、キャラクターの男女バランスがいくらか取れていること。
はっきり、すっきり読みやすい作品です。
第2作、第3作と方向性が変わっていくことに不安を覚えていた人には、
特に救いになる作品です。
推理・・・というのか、難度は高くないのですが、
ニクイ演出と大胆でリスキーなヒントの出し方、
そして、その誤魔化し方は特筆すべきものだと思います。
簡単に言うと完璧に推理できるかどうかのポイントがかなり前にあり、
(事件発覚の瞬間に分かる人には分かります。)
其処でいきなり分かるかどうかで評価が分かれるところです。
評価が高くなるのは、分からなかった人でしょう。
勿論、違和感が残るくらいには洞察できないと味も何もありませんが、
そこで全部わかってしまうよりは、全然分からない方がマシでしょう。
ともあれ、タイトルどおりのお話です。・・・・それはいつもか。
主人公と玖渚友について、もっとも踏み込んだ形になっているのですが、
最後が綺麗に纏まりすぎていて、かえって不安定です。
それを是とするのが、主人公のスタイルですが、
隅から隅までハッピーエンドという訳ではないです。
(そういう意味では、第1作が最高でした。)
ただ、これから後の作品は全て同じ軸で進む一つの話のようなもので、
その締めくくりのエピソードに入るための形としては、
大いに評価に値するものだと思います。
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